日本型ジョブ型雇用は働き方改革のリバウンド説

  ジョブ型雇用の写真

まず、ジョブ型雇用はコロナをきっかけにでてきた話ではありません。

もう1つ前段階があり、TOYOTA(経団連議長)が、終身雇用は正直もう守れません、と宣言した時。これが正しいターニングポイント。2019年の春闘直後です

このメッセージが意味したのは、国の方針に付き合ってる企業を国が何かしら支援(インセンティブ)してくれないなら、もはや終身雇用守れないからねっ!プンプンっていう主旨ですね。つまり、国の指導するとおりの働き方改革導入してたらマジ採算あわねーよ、無茶いうのもいい加減にしてくれよっていうメッセージに違いないとおもいます。他になにかありますか?ないよね。

言い換えると、

☞日本型ジョブ型は働き方改革の一貫というよりはむしろ、働き方改革への反動(リバウンド)として出てきたアイデアなんですぞ。


★”人件費払いきれない”の背景:

上記のとおり、ミソは政府主導の一連の働き方改革ではなく、あくまで企業側から出てきたアイデアであるということ。企業の働き方改革に対するコスト対策であることは間違いがない。したがって建前上、この今回のジョブ型雇用はグローバル競争力とか能力主義導入のためですが、実際は、国策的な働き方改革を経団連企業にごり押しをしたため、企業側が甚大なコストを背負うことになり、企業側は採算あわせるためジョブ型雇用を採用したい、ということに尽きるかとおもいます。導入黎明期はワークシェアなんて言われてましたしね。したがって、人件費に対するトータルバジェットは減らす(あるいは働き方改革以前のバジェットまで落とす)というのが大前提にあると思っています。

雇用漏れしていた層を雇用・雇用継続したり残業減らしたり、薄めてシェアしてぽぽぽんとしたら、当然企業負担のコストは上がり生産性は落ちる。帳尻をどこで合わせるか?その答えがジョブ型雇用ということでしょう。冷静に考えると、これまでさんざんジョブ型雇用の必要性は都度主張されてきました。すでに主張はされていた。しかし企業は、リーマンが来ても円高が来ても、それでもテコでも動かなかった。その日本企業が、なぜ、今動くかというところにヒントがあるとおもいます。コロナレベルの一過性不都合ではなく、慢性的都合が悪いこと(つまり働き方改革のことだと思う)があるのでそれを回避するにはこのジョブ型という方法しかないからです。

したがって、コロナが来てなくてもジョブ型雇用へのシフトは必ずあるという運命でした。そして経団連トップのトヨタのやり方に当然右に倣えする。それがナウ。

ですのでもう一回言うと、にわかに出てきた日本型ジョブ型雇用トレンドが根本で何を第一目的とするかというと「人件費のコストカット」でございますよね。固定費削減ですね。バジェットを減らしたいわけです。能力主義とかそういうのは正直あまり考えてないという疑惑があると思います。

で、次。

★能力主義には企業側が払う覚悟が必要。低賃金大国日本で能力主義を導入するともともとのメンバーシップがいたずらをしてただのブラック労働化する恐れあり:

→(このパラグラフ、カオスになってしまったので読まなくてもOKです)雇用形態・給料の話に戻ってみると、ジョブ型の外資系企業の年収と終身雇用型の日本企業の年収格差というのがあります。外資系企業のジョブ型は有能な人にはたくさん給料を支払い、そうじゃない人はお給料が上がらないor最悪you are firedというやつですね。能力主義。しかしボトムボトムで企業内給与格差の底辺でも日本人の平均よりは高いということが前提としてあります。もともと給料低い日本企業が能力主義になったときのボトムってどうなるか、おそろしくないですか?w。婉曲的命の選別レベル(いいすぎ)w。ジョブ型のアメリカの平均年収は約670万円で、終身雇用の日本は約440万くらいです(中央値)。2:8の法則を引っ張り出してみると、2:8で平均440万になるとすると能力&成果ありの2割の平均年収は〇円で、残る普通かそれ以下の8割(!)は平均〇円になります(計算できない。。。誰かお願いします)。ジョブ型は、もともと、能力ある人には高い給料を払う意思が企業側にないと、成り立ちません。したがって日本人の平均サラリー自体が上がらないということはつまりもともと払う意思がないということ。

で、話を戻して素朴な疑問。

★日本がジョブ型になったら、能力主義になって平均・生涯所得が高くなるポテンシャルがあるかどうか

明らかにNOですよね。もともとが働き方改革によるコスト過剰なところを抑えるためのジョブ型雇用である限り、目標としてははたらきかた改革前のコストレベルまでおさえたいと想定すると頑張ったら成果主義でお給料アップする、というおいしい蜜の部分はミニマムだと考えるのが極めて自然でしょう。結局、成果主義能力主義、専門家特化型とかどうでもよいんです日本のジョブ型雇用はw。頑張って成果だしたら報われる世界に引き続きナラナイんですw。百歩譲って、能力のある人の割合は2割です(2:8の法則)ので、組織10人中2人しかジョブ型の恩恵つまり成果あげて給料が微増する可能性はあっても、その分のこり8人は年収は下がる運命。組織の評価は常に相対評価の場合当然こうなりますよね。※ちなみに私は超成果主義をうたう企業にいたことがありますが、たとえばボトムは賞与1か月、トップは賞与1年分という評価ですが、その指標はブラックボックス。何万人いる社員のなかで社長に表彰されるくらい成果を上げたらおそらくトップランクで成果給がでるということでしょう。しかしあなた何万人の1人になれますか?私は絶対なれないですね。実際聞いて回った範囲では平均以上もらっている人は皆無で、コスト削減のためイカサマやってるともっぱらの噂でした。そういうブラックボックスが発生すると社員のモチベはもちろんさがります。トップの1年分が本当に存在するかどうかさえ怪しかった。成果主義の評価ってそういうことだと思います。成果主義の裏には、コストカットという悪魔が隠れていることを見逃してはいけないと思います。

<まとめ:ジョブ型雇用は働き方改革で増えた企業負担の人件費コストカットしか考えてないという前提を踏まえてどうなるか想像する>

そもそも日本は国の方針として福祉国家であり、平等に薄めて助け合っていきましょうということであり、扶養・高齢などを”弱者”として変わりに負担して年金税金介護費用を互助するというシステム。自分のことは自分で頑張れ、ではないのであります。ですのでアフターコロナでは、まず(1)困窮者救済のための財政支出+金融緩和が行われ、次に、(2)増税ないしインフレ、または2つの組み合わせで(1)のコストが賄われると考えられるそうです。震災の時もそうだった。年収1000万を超えたら税率がぼったくりレベル。今のように扶養制度とか福祉国家をうたいながら能力主義って可能なのかという疑問があります。

休業・時短制度については海外の場合は、担当業務のパフォーマンスを落とさない前提でこれらの制度が活用されているようですが、日本の場合、周囲のサポートありきで回っているところは大いにある。かつ間接部門に異動になるアルアルもある。コアじゃない間接仕事を、周囲に半分やってもらいながら、国の政策どおりに順守して雇用を維持できるかどうか。次に組合があるので業績に関係なくベアもあります。さらに再雇用もしないといけない。これらの国策により、間接部門は2018年で11%に膨れ上がっている。

あと、ジョブ型雇用につきものなのは、少数精鋭という名を借りた魔の裁量労働w。裁量労働は低賃金で労働者をこき使う悪しき悪しき制度だと思いますw。実力主義、能力主義になるとこれができるようになる可能性がある。

さらにこれって結局政府と経団連の亀裂なわけで、国策にNOとはいえない企業側からの最後通告なのでしょう。しかし国民が気づかれなければ政府も儲けものw。自分たちの政策さえ成功すれば、そのリバウンドなんてお構いなしなのがこれまで見ていてもわかりますw。これは決して賃金アップ能力主義のジョブ型雇用ではなく、頑張ったら報われる世界への変身でもなく、ただただ、働き方改革で生じるコストの採算合わせなのです。間違いない。みんな気づいてくれー!w

という私は、そもそも新卒入社した経験がなく、最初の出だしから経験者として入社しましたw。ですので新卒文化や同期文化・教育文化を享受してきた皆さんとはキャリアに対する考え方もだいぶ違うように感じながら歩んできました。キャリア・スキルの積み方・テンポに相違を感じて、しばしば合わせるのに途方に暮れたものです。必然的万年ジョブ型でやってきた私が今回のジョブ型の流れに対して感じることもきっとメジャーの考えとは違うことでしょう。そんな私はずっと新卒文化を揶揄してきた(人材は流動すべきものと考えないと、閉鎖的組織の麻痺(集団浅慮)による競争力低下リスクはでかいことを散々主張してきてました)ので、今更ジョブ型になっても大して困りもしませんが、じゃあうれしいかというと、それはまた違います。全然違う。今回のジョブ型シフトはただのカモフラージュスローガンでしかないからです。能力ある人には高給を払う意思なんぞ、そもそもないのではないでしょうか?観察していて気付くのは、往々にして美辞麗句スローガン系には、大変醜悪なる魂胆がかなりの確率であるということ。”外資もやってるジョブ型!”とかいかにもかっこよさそうじゃないですか。今回のジョブ型シフトの本質は、もはや個人の頑張りとか能力の範疇外。まして再雇用や時短労働やワークシェア的助け合い精神論がなくなるのは国の方針としてNGなのですから、それらはジョブ型にしてもカットできませんので、その分のあおりを、通常労働者が食らう、という仕組みなのです。それが今回のジョブ型雇用の裏面w。労働者にとって過酷以外のなにものでもない流れがやってきますね。

もっとシンプルに言えば、ジョブ型の最大のメリットである、成果出したら給料上がるパートが、ほとんど期待できない。でもデメリット部分はダイレクトにリスクとして降ってくるっていう地獄絵図。これを私は予想しております。これ以外どのような想像ができるのか私にはわかりません。

あらゆる日本の諸問題は経営者含め日本人の給料が少ない(対物価)ことに起因しますので、今回のジョブ型は非常にまずい流れだと思います。なぜなら賃金格差ということは子供に影響しますつまり教育格差と子供の貧困。教育格差のゆくすえは、オフコース生産性低下。まずい。悪循環すぎる。。。

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