ゴッホの名言にこんなのがあります。ネットでも出回っております。
I put my heart and my soul into my work, and have lost my mind in the process.私は、自分の作品に心と魂を込める。そして制作過程では我を失う。
です。どの和訳みてもこれです。しかしこれ、そんなことゴッホさん言いますかね、と思った人、さすがっw
文脈や状況が知りたい、そう思いゴッホの手紙アーカイブサイト(原文と英訳のみ)を探しに探しても見つけられず、いろんな質問サイトで5年間解決せず、昨年ある質問サイトでダメ元で質問したら、やっぱり誤訳の可能性が判明し、紆余曲折を経て、判明したのです!
この1センテンスは、ゴッホが拳銃で自殺したときに、彼のポケットに入っていた弟あてのメモに書かれていた言葉なんですね。手紙じゃなくてメモでした。
したがってより正確なニュアンスを入れた和訳としては、
私は、作品に自分の心と魂をささげ、
その途中で気が狂ってしまった。
ということなのかとおもいます。そう思って読むと、ドヤ的な名言ではなく、非常に悲しい最後の言葉だとと思いませんか。
何が悲しいって、
①自分が気狂いになって悪化していっているということを、正気の部分の自分が自覚している点。私の亡き祖父の認知症が出たりでなかったりの時期を思い出します。
②次に悲しいのは自分が全身全霊で取り組みたいもの、自分がそこでこそ”生”を感じられる場所、それに狂わされてしまったという悲劇。
現行で回っている和訳のように、制作過程で我を失って制作後もとに戻るんじゃないんです、one wayなんです。手紙じゃなくてメモというのも切羽詰まっていた狭窄的心理状況が現れているように思えてまた悲しい。。。
といういわけで、ネットでは誤訳(というか正しいニュアンスが入っていないもの)しか出回ってないのでご注意くださいまし。ちなみにsoul.heart.mindの違いはなに、というヒトもいましたが確かに違いを説明しろといわれてもできないですね。心、魂、気。日本語って難しいですねえ。というお話でした。全然アクセスがないのでもし偶然これを読んでいただいたら、ページトップのNICEぽちよろしくお願いします★
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